1. 利便性の向上

全ての医療機関で使用可能な仕組みへ

　現在、マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、多くの医療機関や薬局で対応が可能となっており、今後もさらに対応施設が増える見込みです。これにより、全国どこに住んでいても医療機関でスムーズに保険の利用ができるようになる仕組みが整備されています。また、保険証がどの医療機関で使えるか確認する必要がなくなり、利用者の負担が軽減されます。

複数のカードを持ち歩く手間を削減

　マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、通常の健康保険証を持ち歩く必要がなくなります。また、これまで保険の種類や条件に応じて複数の保険証を持ち歩いていた人にとっても負担が軽減されます。たった1枚のカードで保険情報を管理できるため、従来のようにカードを取り違える心配もありません。

顔認証で簡単な本人確認が可能

　マイナンバーカードの活用により、医療機関や薬局では顔認証付きカードリーダーを利用してスピーディーかつ正確な本人確認が行えます。顔認証による確認は高い精度を誇るため、従来の健康保険証に比べてなりすましなどのリスクを抑えることができます。この仕組みにより、安心して保険を利用できる環境が整っています。

2. 手続きの簡略化

限度額適用認定証の申請が不要に

　マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、高額な医療費が発生した場合の「限度額適用認定証」を事前に用意する必要がなくなります。これにより、急な入院や治療が必要な際も窓口で限度額以上の支払いを避けられ、事前手続きをする手間が軽減されます。従来、限度額適用認定証の発行には保険者への申請が必要でしたが、マイナンバーカードの健康保険証利用ではこの手続きが省略され、利用者の負担が大幅に減少します。

オンライン資格確認への対応

　医療機関や薬局では、マイナンバーカードを健康保険証として利用することでオンライン資格確認が可能になります。この仕組みによって保険加入状況が瞬時に確認されるため、従来必要だった健康保険証の提示や資格確認に関するトラブルを防ぐことができます。さらに、保険証の切り替え時などでもデータベースで一元管理されているため、正確で迅速な確認が実現します。

行政手続きの一部がデータ連携で迅速化

　マイナンバーカードの健康保険証利用により、行政手続きがスムーズになります。例えば、医療費通知の確認や、確定申告における医療費控除の申請が容易になる点が挙げられます。これらの情報はマイナポータルを介してデータ連携されるため、書類の提出や手入力作業が減り、時間と労力の節約につながります。このように、マイナンバーを活用した健康保険証の利用は、行政サービスの効率化にも寄与しています。

3. 経済的なメリット

高額医療費の即時対応が可能

　マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、高額医療費に即時対応できる仕組みが整っています。従来は医療費が一定の金額を超えた場合、限度額適用認定証を事前に申請する必要がありましたが、マイナ保険証を利用すれば、その手続きが不要となります。これにより、医療機関で高額な治療や手術が必要になった場合でも、窓口での支払い金額を抑えることができ、経済的な負担を軽減できます。

医療費控除や負担軽減にも対応

　マイナンバーカードを用いた健康保険証の利用は、確定申告時の医療費控除手続きも簡素化されます。過去の医療費データがデジタル連携されているため、医療費の明細を一つひとつ集める手間が軽減されるほか、正確なデータに基づいて申告が行えます。また、医療費が多額になる場合にも、限度額を超える支払いを事前に回避できるため、経済的な負担を大幅に抑えることが可能です。

利用促進に伴う特典やポイント獲得

　現在、政府はマイナンバーカードの普及を推進しており、健康保険証としての利用を登録することで、特典やポイントを受け取ることができるキャンペーンを実施しています。具体的には「マイナポイント」と呼ばれる制度が活用され、登録者には一定のポイントが付与されます。これらのポイントは日常の買い物で使用できるため、家計にも役立つ仕組みとなっています。このように、マイナンバーカードの利用には経済的なメリットも多くあり、登録を進めることでさらに多くの恩恵を受けることができます。

4. セキュリティと安心感

顔認証による高いセキュリティ性

　マイナンバーカードを健康保険証として使用する際には、顔認証付きカードリーダーを活用した本人確認が行われます。これにより、なりすましによる不正利用を防ぐことが可能です。顔認証は高い精度を誇り、従来の健康保険証にはない強固なセキュリティ対策として評価されています。医療機関や薬局で安心して利用できる仕組みが整っています。

紛失時でも悪用のリスクが低い

　マイナンバーカードを紛失してしまった場合でも、悪用のリスクは低く抑えられています。例えば、カードの利用には顔認証や暗証番号の入力が必要であり、これらが揃わなければ第三者による利用はほぼ不可能です。また、紛失時には速やかに一時停止や失効手続きを行うことができますので、さらに安心感が高まります。

個人情報保護が十分に配慮されている

　マイナンバーカードでは個人情報保護が徹底されており、情報の不正流出を防ぐ仕組みが確立されています。カードに記録されている情報は、医療機関や薬局、行政機関との間で必要最低限の範囲でデータ連携が行われます。このため、利用者の情報が不必要に共有される心配がありません。さらに、情報保護に配慮した政府の取り組みも続けられているため、多くの方にとって安心して利用できる仕組みです。

5. 将来性と政府方針

2024年以降の健康保険証の廃止に対応

　現在使用されている健康保険証は、2024年12月2日以降、新規発行が停止される予定です。これに伴い、それ以降はマイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行が推奨されています。この取り組みは、医療現場の効率化を図るとともに、保険に関連する手続きを簡略化し、国民一人一人の利便性を高めることを目的としています。既存の健康保険証は有効期限内であれば使用可能ですが、期限切れの際には「資格確認書」が提供されるため、早めのマイナンバーカード登録が推奨されています。

行政のデジタルトランスフォーメーション推進

　マイナンバーカードを健康保険証として活用することは、政府が進めるデジタルトランスフォーメーション（DX）の重要な柱の一つです。この取り組みにより、行政手続きをペーパーレス化し、データを効率的に共有することが可能になります。例えば、医療費や保険関連の事務処理が迅速化されることで、国民が煩雑な手続きから解放されるほか、医療機関側でも業務の簡素化が進むというメリットがあります。これにより、医療の提供体制がよりスムーズになると期待されています。

さらなるサービス拡大の可能性

　マイナンバーカードを活用したサービスは、今後さらなる拡大が見込まれています。現在は健康保険証としての利用にとどまっていますが、将来的には自分の薬剤情報や健診情報などの医療データを一元管理できるようになり、必要に応じて医療機関で共有できる仕組みの拡充が予定されています。また、行政全般でのDXが進むにつれ、マイナンバーカードを通じた他分野での利便性向上や新しいサービスの提供が期待されています。これらの取り組みを通じて、国民生活におけるマイナンバーの活用価値はさらに高まることでしょう。